蓄光の歴史
蓄光の歴史
蓄光とは
1900年代 ラジウム夜光塗料
1900年代初頭、時計の文字盤や計器盤等の夜間視認を可能にするために発明されました。材料には、自発光物質である、硫化亜鉛 (ZnS系)と銅を含む顔料に、放射性物質のラジウムを加えた「ラジウム夜光塗料」が用いられた。自発光物質とは、放射性物質を応用し、放射線により持続的に蛍光物質を光らせるもので、放射性物質を含むことから安全性に問題があった。
1960年代 プロメチウム
1954年、ビキニ環礁での水爆実験で放射線の安全性が問われるようになった。それらの経緯から、日本の根本特殊化学(現、根本特殊化学株式会社)がより安全なプロメチウム化合物を使った夜光塗料「N発光」を開発。
1990年代 アルミン酸ストロンチウム
1990年代になると、地球環境の保全を訴える声が以前にもまして強まったことをきっかけとして、時計業界では、放射性物質が含まれる自発光物質を使った塗料の使用が世界中で中止された。
1993年には日本で放射性物質を含まないアルミン酸ストロンチウム系の蓄光(燐光)物質(蓄光性夜光顔料)を開発。従来の硫化亜鉛系蛍光体よりも残光輝度が10倍高く、残光時間も10倍長い。以後の時計のダイヤルには蓄光物質のみを使った夜光塗料(蓄光塗料)や、自発光物質(トリチウム)を小型ガラスチューブに封入したものが使用されている。
現在の蓄光は?
安全性が確認されている現在は、時計の文字盤や計器盤等、生活の身近な物や場所に使用されるほか、キーホルダー、アクセサリー、マニキュア等のファッションにも使用されている。また、ニューヨークでの9・11テロ等において、避難経路を示すことの重要性が高まったことからも、電源や配線配管を必要としない「蓄光」が注目を集めています。
日本国内では、いち早く横浜市交通局が地下鉄のプラットホームやコンコースで蓄光式の避難誘導板を設置し、その後、東京都が火災予防条例で地下駅を保有する全ての鉄道事業者に蓄光性を持った明示物を設置することを定めた。
地震や台風等の災害時に発生する停電によるブラックアウトに際し、電源を必要とせずに発光する「蓄光」は非常に有効な手段であると考えられ、広域避難場所や津波避難場所等の表示に蓄光を採用する動きが多くなってきております。